Sunday, October 22, 2017

Libro de Buen Amor

Libro de Buen Amor  フアン ルイス

AQUÍ DIZE DE CÓMO EL AÇIPRESTE RROGÓ A DIOS QUE LE DIESE GRAÇIA QUE PODIESE FACER ESTE LIBRO

ここでは、主席司祭が神に対しこの本を書くための力を授け給えと祈願したさまが語られる。
11Dyos Padre, Dios Fijo, Dios Spíritu Santo:
El que nasçió de Virgen esfuerçe nos de tanto,
Que sienpre lo loemos en prosa é en canto,
Sea de nuestras almas cobertura é manto.

父なる神、御子なる神、聖霊なる神よ、
聖母より降誕されしかたよ、どうか私たちに力を与え、
賛美歌や詩文によって、永遠にあなたを称えさせ給え。
私たちの魂を譲る被いとなり、マントとなり給え。

12El que fizo el çielo, la tierra é la mar,
Él me dé la su graçia é me quiera alunbrar,
Que pueda de cantares un librete rimar,
Que los que lo oyeren, puedan soláz tomar.

天と地と大海を創造されし方、
どうかその恩寵によって、私を啓発し、
それを聞く人々に慰めを与えられるような
ささやかな詩の書を綴る力を、私に授け給え。

13Tú, Señor é Dios mío, que al ome formeste,
Enforma é ayuda á mí, tu açipreste,
Que pueda facer Libro de Buen Amor aqueste,
Que los cuerpos alegre é á las almas preste.

おお、わが主なる神よ、人間を創造されし方よ、
あなたの主席司祭たる私に霊感を与え給え。
肉体に愉悦をもたらし、魂を裨益するような、
このよき愛の書をしたためさせ給え。

14Sy queredes, señores, oyr un buen soláz,
Ascuchad el rromanze, sosegadvos en paz:
Non vos diré mintira en quanto en él iaz';
Ca por todo el mundo se usa é se faz'.

さて読者の皆さん、何か洒落た気晴らしをご所望とあらば、
この詩(ロマンセ)に耳を傾けて、のんびりなさることだ。
ここに書かれていることには、決して嘘いつわりなどありはしない、
全てこの世で習わしとなり、行われていることなのだから。

15E porque mijor sea de todos escuchado,
Rrazón más plazentera, ffablar más apostado.
Es un decir fermoso é saber sin pecado,
Rrazón más plazentera, ffablar más apostado.

私は皆さんにこの書をより楽しく聞いていただくために、
韻を踏んだ詩物語によってお話ししようと思う。
それこそ実に美しい語り方にして、非の打ち所のない技法であり、
この上なく愉快な談話にして優雅極まる話法だから。

16Non cuydés que es libro de neçio devaneo
Nin tengades por chufa algo que en él leo:
Ca segund buen dinero yaze en vil correo,
Asy en feo libro yaze saber non feo.

これを取るに足らぬよしなし言の書とはとらないで欲しい、
ここで私の唱えることを、戯言などとは思わないことだ。
なぜなら、薄汚い財布にも良貨がぎっしり詰まっているように、
見かけは悪い書物にも、卑しからざる知恵が満ちているものだから。

17El axenúz de fuera negro más que caldera,
Es de dentro muy blanco, más que la peñavera;
Blanca farina yaze so negra cobertera,
Açúcar dulce é blanco yaze en vil cañavera.

クロタネソウの外側は、釜の底よりも黒いが、
その内側ときたら真っ白で、それこそ白貂よりも白い。
また白い小麦粉は麦穂の黒っぽい外皮の中にあり、
甘くて白い砂糖も見てくれの悪い砂糖きびから取れるもの。

18So la espina yaze la rrosa, noble flor;
So fea letra yaze saber de grand dotor;
Como so mala capa yaze buen bevedor,
Asy so mal tabardo yaze El Buen Amor.

鋭い糸の間には、高貴なバラの花が咲き匂い、
下手な文字の中にも、偉大な賢者の知恵が潜んでいる。
ちょうど汚いマントをはおっていても、人の好い酒飲みがいるように、
薄汚い衣装の下に、よき愛が隠れているものなのだ。

19Porque de todo bien es comienço é rayz
La Virgen Santa María, por ende yo, Juan Rruys,
Açipreste de Fita, della primero fiz'
Cantar de los sus gozos siete que asy diz'.

あらゆる善の始まりとその根源は、
聖母マリアにあるのであってみれば、イータの主席司祭たる
私、フアン ルイスは、まず手始めに聖母の七つの喜び(ゴソス)にまつわる、
次のような聖母讃歌(ゴソス)を作ってみた。


La lectura del Profe Ueda (de la Universidad de Tokio) en PDF en japonés. Haga clic aquí.